プロローグ |
「たーかーや、まーだー?」 「もうちょっと待てって、ステッラ」 ステッラと呼ばれた少女は椅子の背もたれに手を置きガタガタ揺らしている。 金髪のショートボブで明るい雰囲気をもつ女の子だ。 一方、貴哉と呼ばれた男性…俺はフライパンを左手に、フライ返しを右手に持ってステッラに返事を返す。 「今日はたくさん動いたからお腹減ったのー」 「ステッラ、待とうよ…?」 椅子を揺らし続けるステッラを止めたのはステッラと双子の妹のルーナだ。 ステッラと同じく金髪だがルーナは肩までのストレートヘアである。 こうして横に並んでいるのを見ると双子なだけあってとてもよく似ている。 髪型が同じだったらどっちがどっちだか見分けがつかないだろう。 「帰りました」 そう言って姿を現したのはフィオーレだ。仕事を終えて帰ってきたのだろう。 金髪のロングヘアを三つ編みにして横で束ねている。とても大人っぽく見えるが実際の年齢はよくわからない。 「俺も帰ったぞー。って、片づけてないじゃないかステッラ。お前だけのアジトじゃないんだからな」 フィオの後ろから入ってきたのはここのアジトのリーダーだ。 図体が大きく扉をくぐるにも頭を少し下げなければ入れないらしい。 リーダーの本名は誰も知らないし、知ろうとする人もいない。ただ興味がないというわけではないが、そこら辺りは皆聞かないことにしている。 ここの人たちは五人とも訳あってこんなところにいるのだ。聞かれたくないことの一つや二つあることを知っている。 後々話すことになるだろうが俺は東洋出身で皆とは名前が異なった言い方だ。そのため出身のことを聞かれると辛い。 |